どうも、元ジーパンショップ店員です。
久しぶりにとあるジーパンショップに行ってみました。
生地に指定外繊維「和紙」を織り込んだジーパンというものを前面に打ち出しておりました。店としてもすっごい売りたいのが伝わってきました。
ただね?
「和紙のジーパン、ほんとに欲しい?」とショップの店員に問いたい。
和紙のジーパンって、それジーパンって呼んでもいいのだろうか?
和紙のジーパンって、消費者が求めてるの?
メーカーやショップによる新しいファッションスタイルの提案ですか?
ただ売りつけたいだけなんじゃないの?
と困惑しました。
新しいものを提案する前に、洋服やファッションの楽しみ方を提案するべき
アパレル業界ではたしかに、新しいモノを提案していく必要はたしかにあります。
しかし、特にジーパンに関して言えば、新しいスタイルを提案するよりも先にやることがあるではないでしょうか?それは、ジーパンの良さや楽しみ方、洋服の着こなし方、合わせ方、ファッションに興味を持ってもらうといった基本的なことをお客さまにしっかりと伝えることだと感じます。
そもそも「ジーパンの良さ」が伝わっていないのに、新しいスタイルを提案しようとしても伝わるはずがありません。
和紙デニムの魅力とは?
和紙混のデニムは、サラサラとした肌触りや吸水性や速乾性といった「快適性」をウリにしていました。要するに「はき心地の良さ」をウリにしているわけです。
さらさらとした生地はたしかに穿き心地がよく、暑い季節にはうれしいファッションアイテムになるでしょう。夏になればお店のそこらじゅうでアピールしています。
和紙デニム、伸び縮みする生地を使ったジーンズといったはき心地を追求したジーンズを否定するつもりはありません。むしろ、すごく良いと思います。
年配の方々は、金銭的にも時間的にも余裕がありますので、見込み客として開拓するのは大切だと思います。
しかし、いままでジーンズをはいたことがないお客様の人生で初めてのジーンズが快適性をウリにしたジーンズだとすればちょっと悲しい気持ちになります。いや、ちょっとどころじゃないです。かなり悲しいです。
ファッション性を追い求めるのは、いつの時代も未来の社会をつくりあげる「わかものたち」です。
カジュアルとファッションというカテゴリーのなかで洋服を扱っているショップ。そのショップの店頭に快適性がウリのジーパンが置いてあるなんて、あまりにもかなしすぎます。
ジェーム・スディーンも、エルヴィスも、イヴ・サンローランも、カート・コバーンも、みんな泣きますよ、ほんと。
ジーパンに快適性なんていらない
純粋にデニムのおもしろさを楽しむなら綿100%のジーンズをはいてほしい。どこのメーカーのどんなジーンズでもいいんですけど綿100%のジーンズをはいてほしい。
消費者の要望なのかわかりませんが、年々、伸びる生地や薄い生地のジーンズが増えているように感じています。
この流れがジーンズの人気を下降させている原因のひとつだとも感じています。ジーンズが伸びたり、薄くなったりするのが、もしも、消費者側のニーズだとすればジーンズをはく人には伝えておきたい。
「ジーパンに快適性なんていらない」と。
だって、はき込むことで快適になっていくのがジーンズなんですから。
それでは!