ジーンズっていいですよねー!
なにが良いって?うーん、ジーンズの本当の楽しみは、イチからはき続けてボロボロになるまで穿きつぶした人だけにしかわかりませんね、えぇ。
さて。
前回の記事「太めのジーンズについて」の中でぼくは、1955年製の501XXが太めのジーンズの中でいちばんのおすすめだと書きました。
そこで今日はジーンズの原点リーバイスのなかでも超有名な型番「501」の話でもしてみようかな、と。
うまく伝わるか不安ですが、リーバイス「501」がなぜ世界中で親しまれる王道のジーンズ、愛されるファッションの定番アイテムになったのか?
それは501の特徴を知ることでわかるはずなので、ぼくなりの視点で解説してみたいと思います。
では、いってみよう!
「LEVI'S 501」3つの特徴
さっそく501の特徴について解説していきます。この3つの特徴を知っているだけで、リーバイス501だけではなく、ジーンズが世界中で愛されるようになった理由も知ることができるはずです。
では!
1.501はなぜボタンフライなのか?
501の特徴でパッと見ていちばんわかりやすいのが「ボタンフライ」です。
ボタンフライとは、開閉場所のフロント部分をとめるものがジッパーではなく「ボタン」になっているもののこと。
ぼくも、はじめてボタンフライに出会ったとき、ちょっと混乱しながらこう思いました・・・
「な、なんだ...このやりにくさは!?なんでジッパーにしないんだ???ジッパーにせーよっ!!」と。
もう慣れてしまったいまとなっては、むしろジーンズはボタンフライじゃないともの足りなさを感じてしまって、穿く気になりません。
ボタンを止めるのにはたしかに慣れが必要ですが、いちど慣れてしまえば、開けるときは、前後に引っ張るだけで、、、
バアァァアァァアアァァァーーーーーッ!!!
とすぐに開けられます。ジッパーのようなひっかかりもないので、すっごい爽快感があって気持ちいいんですよ、これが。
すこし話はそれますが、501の誕生から現在にいたるまでずっと501はボタンフライが採用されています。(※注意.501が付いたジッパータイプのものも一部ありますが管理人は別品番という解釈)
これってすごくないですか?
約150年前に採用されたボタンフライがずっと続けて採用されるなんて。しかも、リーバイスだけじゃなくて、他のメーカーでもあえて採用しているんですから。
これって作業着でもファッションアイテムでもなくて、もはや伝統衣装みたいなももではないのかと、そう思うわけですよ。さらには世界中に愛用者がいるんですから、もうびっくりですよね、ほんとに。
時代も変化しますが、501の特徴もまた時代にあわせてうまく対応することができるということです。
では、なぜそもそもめんどくさそうなボタンフライを使うんでしょうね?ジッパーにすればいいじゃん!って思いますよね。
実は、「ジッパーにしないのではなくジッパーを使えない」からなのです。
2.501が掲げる「シュリンク・トゥー・フィット」の概念とは?
そもそも501ができた時、なぜボタンフライをつかわなければならなかったのか?
ジーンズができた1870年代には、まだジッパーというものが存在していなかったというのもひとつあります。ただ、それなら「ジッパーが発明されて以降の時代はジッパーを使えばいいじゃん」という話になるわけです。
だとすれば、それでもボタンフライを使い続ける理由があるわけです。
そのもうひとつの大切な理由というのが「Shrink to Fit(シュリンクトゥーフィット)」の概念です。
シュリンクトゥーフィット、そのまま訳せば、
- シュリンク(Shrink): 縮む,収縮する
- トゥー(to): ~のために
- フィット(Fit): 合わせる,フィットする
という意味になるでしょうか。
それをぼくなりに解釈させていただくと、『501を着用する人の動きや体型、生活スタイルに合わせてジーンズそのものがより適した形に変化していく。それは501の伸び縮みしやすいという特徴ある生地だからこそできることである』っていうことです。かなり脳内補完させていただきましたけど(笑)
つまり!
「501の生地はとっても縮みやすいよ!」ってことなのです。縮みやすいということは裏をかえせば「伸びやすい」ということを意味しています。「輪ゴム」と言えば想像できるはずです。
- ウエスト
- おしり
- もも
- ヒザ
といった箇所は立ったり座ったり、腰をひねったりすることで伸びる箇所です。そして、ジーンズは洗濯をして乾かすことによって縮みます。
これを繰り返すことで、どんどんと着用する人の体型に合ったはきやすいジーンズになっていくのです。それに加えて、ジーンズの色落ちも着用する人それぞれの色の落ち方をしていきます。
つまり、501を着用し続けることによって、まるでオーダーメイドのようなその人だけのオリジナルジーンズになるということなのです。
この概念を知ってから、ぼくは「ジーンズは自分でゼロからはきつぶすこと」がひとつの楽しみになりました。
んで!
ここからが大切なんですが、501特有の縮みやすいという生地の性質ゆえに、ジッパーを採用してしまうと、ジッパーのかみ合わせがずれてしまい開閉不能になる可能性が高くなってしまいます。
そこで、生地が縮んでも影響のすくない「ボタンフライ」が採用されているわけです。
どうですか?
ちょっと501に興味がでてきたんじゃないですか?
3.501は時代にあわせて変化して進化し続けるジーンズ
501の歴史は100年以上あります。
もちろん、最初の頃は「501」なんて呼ばれておらず、ゴールドラッシュを支えた炭鉱夫のための丈夫な作業着としてアメリカで発明されました。
100年以上の歴史の中で、基本概念はしっかり残しつつ時代に合わせデザインや形、製法、加工等さまざまに変化しています。
例えば、ぼくが初めて買った501である44501は、通称「大戦モデル」と呼ばれています。「44」とは1944年ごろの501であるという意味です。
当時は、第二次世界大戦の戦況下のため物質統制がはかられており、501を作るための素材を十分に調達することがができませんでした。
物資が不足する中でもなんとか501を製造しようと、従来のものより簡素化されました。リベットと呼ばれる鋲やボタン、バックストラップに使用されていた金属類を廃止または変更。
リーバイスジーンズの大きな魅力でもある通称「アーキュエイトステッチ」とよばれるバックポケットに施された黄色い刺繍もペイントに変更となってしまいました。
この大戦モデルは、日本だけではなく世界中にたくさんのファンをもつジーンズです。もちろん、ぼくも大好きなジーンズです。
当時の44501を再現して、現在でもリーバイスで生産されています。生粋の古着好きの方やオリジナルの44501が好きな方は、納得がいかない作りかもしれませんがぼくはけっこう好きです。
現行、生産されているヴィンテージのレプリカですが、ぜんぜん当時の作りと違うとおっしゃる方もいます。
しかし、それも時代の中で作られている501。
数十年後。いや、数百年後。
ぼくやあなたが着用したジーンズが、未来のジーパン好きやリーバイス501マニアたちが、目を輝かせている姿を想像するとなんだかワクワクしませんか?
501なら1947モデルがおすすめです
ちなみに、歴代501の中でもっとも伸縮性があるといわれているのが1947モデルです。
現在のジーンズの基本的なデザインをしていながら、伸縮性のある生地のおかげで穿きこむほどに穿きやすくなる、501の良いところを味わうことができます。
1947モデルは色落ちも人気のモデルですから、歴代501の良いところをバランス良く味わうことができるモデルとなっているので、初めての501ならば1947モデルはおすすめです。
さいごに
501の特徴はまだまだたくさんあります。
2013年に501はモデルチェンジされ、股上がやや浅く、歴代の501の中では細身のシルエットになっています。
作業着という雰囲気はまったくなく、カジュアルな場面はもちろんですが、大人が集まるややフォーマルな場面でも違和感なく着ることができます。
近年の501は、
- 「生地がうすく軽くなった」
- 「色の落ち方がオリジナルのヴィンテージにはかなわない」
- 「シルエットが501らしくない」
といった声を見聞きすることが多いように感じています。
たしかに過去の501は、その作りの「粗さ」が逆にいい味を出していて、とてもカッコいい色落ちをします。
生地についても、糸が不揃いだったり染具合もムラがあったりして、ジーンズ本来の魅力を味わうことができます。
ですが、先ほども書いたように、現行で生産されている501も、長いリーバイスの歴史、その1ページに刻まれる501であることに変わりはありません。
その歴史の1ページに名前を刻めるかもしれないなんて、とてもすばらしいことじゃないですかね?
リーバイスが501を生産しつづけているこの時代に生きていることを、すごくうれしく思っています。
みなさんにとって愛着のわく501に。一生、はき続けたいと思えるジーンズに出会えることを願っています。
ではでは。