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ファッション接客コラム

EDWINが没落したたったひとつの理由

ジーンズは好きになれましたか?

 

「EDWINが500億円の負債を抱えて伊藤忠商事に子会社化される」というニュースを聞いてとても悲しくなりました。

伊藤忠商事は3月11日、巨額の債務を抱えて経営を債権していたジーンズメーカー大手「エドウイン・ホールディングス」の全株式を取得して、5月末までに子会社化することを発表した。

エドウイングループは、EDWIN、SOMETHING、LEE、Wrangler、ALPHA INDUSTRIESなどのブランドを抱えるアパレルメーカー。投資の失敗などで負債が拡大、2013年11月に私的整理の手続きを申請し、倒産を回避しようとしてきた。

出典:EDWINブランドは維持 エドウィン全株式を伊藤忠が取得

「投資の失敗」という内容でしたが、ジーパンショップで仕事をしていた自分としては「いや、原因はそこじゃないだろ?」と感じてしまうわけです。

いま一度、ジーンズの良さを見つめ直さないか?

ジーンズ業界、アパレル業界の厳しさをひしひしと感じてはいますが、いまはただの客。

客としての意見だけでけはしっかりと言わせてもらおうかな。

要するに、「ほしくなるようなジーパンがないし、ほしくなるような売り場も作れていない」ということでしょう。

  • 売れるものをただ売っているだけ。
  • 売りやすいモノを作って売っているだけ。

ジーパンの売り場をみているとほんとにそう感じます。しかも、それでいて「ショップが売らないから悪い」「ユニクロのせい」「しまむらのせい」「エドウィンやリーバイスのジーパンの値段が高いから」と、ショップとメーカーが責任のなすりつけあいをしているのではないでしょうか?

いまいちど、ジーパンの良さを見直し、古着ブームやジーパンと触れることなく育ってきた世代にむけたメッセージを届けて良いのではないでしょうか?

503を捨てろ!お客様にわかりやすさとコンセプトを!

もともとエドウィンはリーバイスを意識した「503」という数字を使ってきました。

しかし、どのシリーズでもおなじように「503」という名前を使うので、お客様はもちろん、ショップ店員もよくわかっていないということが、ジーパンショップでも起こっていました。

その時点ですでに、店員という立場からみたエドウィンのイメージはあまりよくありません。

しかし、実際のEDWINの売れ行きってどうなの?と聞かれると、「EDWIN」や「Lee」などが主力ブランドで、ジーンズ量販店ではLEVISよりも売れていた、というのが事実。実際、ぼくが働いていた店でもEDWINの商品はよく売れていました。

ただし、ジーンズが好きなショップ店員の目線でみると、心底すすめられるものってあまりなかったように思います。

「粗悪なものだった」という意味ではもちろんありませんし、仕事という意味では、エドウィンのジーパンも気持ちよくお客様に購入していただく必要がありましたので、がんばっていたのですが。

というのも、、、。

EDWINが没落したたったひとつの理由

「エドウィンのジーパンには愛着がわかない」

それが、DWINが没落した理由だろうと感じています。

どういうことかと言えば、それはEDWINのジーンズが「店頭に並んでいる時点ですでに出来上がってしまっているジーンズ」ということです。意味がわからないかもしれませんので、もう少し詳しく。

ジーンズは、自分で穿いて育てることで、生地が伸びたり縮んだり、柔らかくなったり、色落ちもしながらどんどんとはきやすくなっていきます。ジーンズのカタチも自分の体型や動きにあったカタチになってきますので、自分専用にカスタマイズされたオーダーメイドの洋服みたいなものです。

ジーパンに、特別なファッション性やはきやすさというのは必要がないと思っています。

思い出も一緒に刻まれることで、愛着のわく洋服になっていくわけです。シルエット、色落ち、ほつれ、やぶれ、よごれ、、、とすべてが違うわけですからね。

そういうところに、ジーンズの面白さがあるとぼくは信じているわけですが、EDWINのジーンズはそのピークが店頭に並んでいる時点なのです。

たしかに、シルエットがきれいなもの、色落ちや加工もカッコよく見えるものがたくさんあります。

バックポケットの刺繍やダメージ具合も完成されているジーパンが本当にたくさんあります。流行りののデザイン、色、形、、、すぐに取り入れていると思います。やわらかくて伸びる生地、さらさらと穿き心地の良い生地、、、本当にたくさんのジーパンがあります。

ですが。

それゆえに「飽きるのも早いんじゃないのか?」ということがいえるわけです。エドウィンのジーパンを購入されたお客様が「2~3回、着用したらダメージ加工されていたとこ、そのまま穴があいてしまった」と、修理の依頼にこられることが多かったのです。

せっかく買っていただいたジーンズです。

たった一回、二回の着用でガッカリしてほしくないわけです。飽きてほしくないし、なんなら一生はきつづけてほしいと思っているわけです。店員としては。

なのに、肝心の扱っている商品がそれでは、全力ですすめられない自分がいるわけです。もちろん、個人的な好き嫌いの範疇かもしれません。ですが、実際にEDWINのジーンズをはいているショップ店員ってあまり見かけない気がします。

さいごに

EDWINのジーンズは完成しすぎている。

別の言い方をすれば「客のニーズに答えすぎた」とも言えるような気がします。

ジーンズは、自分で穿いて、穿き続ける中で完成していくものです。

一度、着用してしまえば、それだけで変化をするのがジーパンです。一瞬、一瞬のはかなさを楽しむ余裕がほしいな、とそう思います。

んでは!

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Jean@でにまに管理人

元ジーパンショップ店員。約5年間アパレル業界で仕事をするが精神的体調不良により仕事を辞めて約1年半療養。療養期間中に自宅でできる仕事をさがしてサイト運営やWebライティングにたどりつく。現在は自宅でブログやサイトの運営、Webライター、ネット通販などで生計を立てながら、知人の店舗の運営を手伝ったり、サイト運営やWeb活用のアドバイスをおこなったりしています。

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