ジーパンの伸縮性について

デニムマニュアル

ジーパンは「なぜ縮むのか?」という話。

ジーンズ、洗ってますか?

ジーンズショップで丈直しをするときは、少し長めに仕上げるようにしています。「少し長め」というのはジーパンやその生地によって変わりますが「約1インチ」であることが多いです。

1インチは「約2.5㎝」のことです。

加工がしてないものだと2インチ以上を残して丈直しすることもあります。

なぜ長めに仕上げるのか?

それは新品のジーンズの丈は、最初の数回の洗濯で大きく縮むことが予想されるからです。

これはジーンズにかぎった話ではなく「綿」という素材を特徴ではありますが、特にジーパンは縮みやすいのです。

では、なぜジーンズは縮むのでしょうか?

ジーンズが縮む理由

ジーンズが縮む理由を知るためにはまず、デニムという生地について知っておく必要があります。

デニムとは?

デニムとは、インディゴ染料で染められた綿の糸を使用し、横1、縦2の間隔で編み込んだ綾織り状の布のことを言います。

またデニムの特徴として挙げておきたいのが「糊付け」です。

インディゴ染料で染めて作ったデニム生地は、洗ったりこすれたりすると、すぐに色が抜け落ちてしまうほど、色を定着させるのが難しい染料です。

そこで、いったん大きなデニム生地にした後で「糊付け」をします。糊付けとは、ワイシャツを「パリッ!」とさせるのと同じだと思ってください。

糊付けした状態のバリバリのデニム生地でジーンズは作られます。これがいわゆる「リジッドジーンズ」とよばれており、リーバイスをはじめとするジーンズメーカーでも購入することができます。

リーバイス ビンテージ クロージング LEVI’S VINTAGE CLOTHING 1933’s 501XX リジッド (LVC 50133-0119 RIGID 米国製 コーンミルズ)

ジーパンが縮みやすい理由

このバリバリの状態のリジッドジーンズを洗濯すると、糊が落ち、大きく縮むという特徴があります。糊が完全に落ちるまでには数回の洗濯が必要なので、ジーパン屋でもすこしだけ丈を長くしてスソを直します。

デニムの元となる「綿」という素材は、水をふくみ、乾くときに縮むという性質を持っていることも関係していますが、特に一度も洗っていない「リジッドジーンズ」の縮みが大きい理由は「糊付け」の影響が大きいのです。

使われているデニムという生地について知る必要がありますが、大きな理由としては3つ。

    • デニムの素材が綿だから
    • デニムは綾織りだから
    • デニムはの糊付けされているから

1.「綿」という素材

デニムに使われている綿という素材は乾くときに縮んで堅くなるという特徴があります。

もとをたどれば植物の繊維ですので当たり前のことですが、水分がなくなれば縮むということです。

デニムに限りませんが、綿という素材をつかった洋服やタオルなどについて、洗濯して乾かすとゴワゴワとしたすこし固い肌触りになります。

これを緩和するために柔軟剤をつかい、柔らかい手触りにするわけです。

それくらい綿という素材は縮みやすいということです。

2.綾織り(右綾と左綾)

デニム生地

ジーンズの生地をよく見ると編み目が斜めに走っているのが分かると思います。

一般的なデニムは「みぎ斜め上」に編み目が走っていて、このようなデニムを「右綾(のデニム)」と言います。画像は右綾のデニムということです。

逆に「ひだり斜め上」に編み目が走っているものを「左綾」と呼びます。

ちなみに、左綾デニムで有名なメーカーが「Lee(リー)」です。

Leeのすべてのジーンズが左綾というわけではありませんが、「Leeの左綾が好き」というだけで長年はき続けるファンがいたりするくらいです。

こうした生地の違いを見比べ、穿き心地や色落ちの違いを確認するのも、ショップ店員としての大切な仕事であり楽しみのひとつでもあります...と、すみません、話がそれました。

この綾織り生地の特徴が「伸縮性」です。画像のデニムで言えば、縦の方向に伸び縮みしやすいという特徴があります。

「着用することで生地が伸び、洗濯して乾かすことで縮む」という伸縮性は、デニムという生地にとって大切な特徴なのです。

ちなみに、一般的には左綾デニムのほうが肌触りが柔らかく伸縮性があるといわれています。ぼくも実際に着用してみてそう思います。

右綾、左綾の他にも「ブロークンデニム」と呼ばれる、縦糸と横糸を不規則に編み込んだデニム生地もあります。

糊付け

糊付けについては、先ほども説明しましたがデニム生地の製造には必要な工程です。

市販されているジーンズのほとんどが、メーカー側で洗濯されていますから、糊はある程度おちています。

もちろん、糊付けされた状態のデニムで作られたジーパンもありまして、個人的には糊付けされたリジッドジーンズをおすすめしています。

この糊付けがされている状態で作られたジーンズは、メーカーの違いなどで、

  • リジッド ジーンズ(完成されたジーパンそのものを指すことが多い)
  • ノンウォッシュ(販売されているジーパンの生地の状態を指すことが多い)
  • 生デニム(のり付けされたデニム生地を指すことが多い)

などと呼んだりします。

基本的にはどれも洗っていない糊付けされた状態のジーンズの話をしていて、ぼくは「リジッド」と言うことが多いです。

どんなものか知りたいあなたはジーンズショップで『生デニムのジーパンってありますか?』などと聞き、もしも店頭に置いてあれば持ってきてくれるはずです。そして、ぜひ生地を触ってみてほしいです...すんごいバリバリですので。

リジッドジーンズは糊落としをする1回目の洗濯がとくに縮みます。

そのためウエストサイズや丈直しも難しくなるので、一般的に市販されているジーンズのほとんどがいちど洗濯をしてあるワンウォッシュの状態です。色がうすかったり加工されていたりするジーンズの場合は、もっと洗濯してある場合もあります。

ワンウォッシュでも、多少の縮みはもちろんありますので、丈直しの時はくれぐれも短くなり過ぎないようきをつけたいところです。

ジーンズの縮みのまとめ

ジーンズは洗うと縮む。縮むということは、穿くと伸びる。

縮みと伸びを繰り返すことで、どんどんと穿きやすくなる。

この縮みと伸びが楽しめるようになると、ジーンズがもっと好きになるはずです。

ステキなジーパンと出会えることをねがって、ではでは!

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Jean@でにまに管理人

元ジーパンショップ店員。約5年間アパレル業界で仕事をするが精神的体調不良により仕事を辞めて約1年半療養。療養期間中に自宅でできる仕事をさがしてサイト運営やWebライティングにたどりつく。現在は自宅でブログやサイトの運営、Webライター、ネット通販などで生計を立てながら、知人の店舗の運営を手伝ったり、サイト運営やWeb活用のアドバイスをおこなったりしています。

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