アパレル業界と転職

転職体験談

元ショップ店員がアパレル業界を辞めた理由とその経験から学んだことについて語ってみた。

こんにちは、ジーパンが好きという理由でアパレル業界で働いていたぼくです。

ジーパンは好きなのですが、ファッションにはそれほどの興味がなく、また緊張しやすい性格なので接客にも苦手意識がありました。

そんなぼくでも、アパレル業界で仕事をやり続けることができたのは、自分に会いにわざわざやってきてくれるたくさんのお客さまがいたからです。

おもてなしの心で、お客さまには楽しんで帰っていただきたい、おしゃれにかっこよくなってもらいたい、という想い。

なにより「ジーパンの良さを知ってもらいたい」という気持ちを忘れず、ていねいな接客をこころがけているだけで、会いに来てくれるお客さまが増えていくことが楽しくて、接客という仕事をしていました。

好きなジーパンに囲まれ、お客さまにも来ていただけていたぼくが、なぜアパレル業界をやめたのか?

当時のことを思い出しながら、あらためて自分の働き方や仕事について振りかえってみようと思います。

アパレル業界をやめた理由

いま考えると、正直、アパレル業界を辞めたことを少し後悔しています。

ただあの当時のぼくは、ただただ「もう、辞めたい」という気持ちが強かったですし、「辞める」「続ける」といった判断すらまともにできない状態になっていました。

統合失調症の診断

ぼくがアパレル業界を辞めた直接の原因は「精神的な不調」でした。

職場に行くことが恐怖になり、家から出ることも起き上がることもできませんでした。

食欲もなくなってしまい、何もする気が起きなったぼくは、どういう経緯だったかハッキリと覚えていないのですが、精神科を受診することになり、そこで「統合失調症」と診断されました。

心身の状態が落ち着くまで、およそ半年ほど休職。もらったクスリを飲みながら自宅療養をしていました。

悔しさや情けなさ、怒り、将来への不安といった感情と毎日クスリを見つめながら号泣したこともありました。

先輩スタッフからの無視がはじまる

いま考えると「統合失調症」ではないように思います。

もともと、おっちょこちょいで、すぐに物をなくしたり、作業もやりっぱなしにして違うことをやり始めたりしてしまうことがあり、どうやら発達障害(ADHD)の傾向があるだと思います。どうやら、それがある先輩スタッフには気に入らなかったのでしょう。ある日からだんだんと無視をされるようになったのです。

ぼくは、臆病でビビりな性格なので、日頃から「人に嫌われないように」と、明るくふるまっていたつもりでしたから、すごくショックでした。ただただ、その先輩の目におびえながら日々の業務をこなす一方で、お客さまの前では笑顔で接客をこなしていたので、だんだんと精神状態がおかしくなっているのがわかりました。

そして、食欲もなくなり夜もねむれなくなりました。生活のリズムもおかしくなり、仕事にも影響がでるようになりました。

ミスがミスを呼び自己肯定感が失われる

そして、体も心もむしばまれていくと、仕事でも小さなミスがまたミスを呼び、大きなミスにつながるようになりました。

自分にだけ影響があるならまだいいのですが、お客さまにも迷惑をかけてしまうことも増えていきました。

当然、先輩や上司からも注意や叱責されることも増えていき、だんだんと自分自身が嫌いになり、感情もなくなっていきました。

人間性を疑う人たちばかりの職場環境

半年ほど仕事を休んで職場復帰をしました。

自宅療養していたということもあり、理解のある先輩や上司のおかげで、職場復帰後はふたたび接客の楽しみを味わいながら仕事をこなすことができました。

しかし、理解ある人たちばかりではないので、冷たい言葉を投げかけられることもありました。

くわえて、一部の上司や先輩たちの人間性を疑うような場面に出くわしたり、噂を耳にすることが重なってしまいました。

例えば、お客さまの容姿や言動をバカにする人や商品を盗む人、社内で不倫をしている人がいるといったことがわかり、ぼくはだんだんと人間不信になり、自分が所属している会社そのものを信じられなくなっていったのです。

そんなことが重なり、ぼくはいよいよ「会社を辞めたい」と考えるようになりました。

社会人としてのステップアップが目的ではなく、いまの現状から逃げ出したいという思いから、「仕事をやめたい」「アパレル業界から離れたい」という気持ちになってしまいました。

いまになって考えると、この「辞める」という選択は間違いだった、失敗だったと反省しています。

アパレル業界を辞めた経験から学んだこと

せっかく体調も戻り、社内には理解のある人たちがいることもわかったというのに、アパレル業界を辞めることにしました。

それは、先ほども書いたように一部の先輩や上司、ひいては自分の会社そのものを信じられなくなり「アパレル業界から離れたい」という気持ちから、辞めるという選択をしました。

しかし、やはり「後ろ向きな理由」で、会社を辞めたり、仕事を放棄したり、転職するというのは、失敗だったと感じています。アパレル業界を辞めたい、転職したいと考えている人に、同じような失敗をしてほしくないので、失敗だったと感じている理由を残しておきます。

信頼できる上司や先輩に相談すること

精神的な不調、長期間の休業について、理解していただき優しい言葉をかけてくれた、同僚、先輩、上司は、少なくともいてくれたのですが、ぼくはそういった方々に相談することができませんでした。

嫌われている気がして交流できなかった尊敬する先輩がくれた手紙

いま、ふと思い出したのですが、ぼくよりも先に退職された尊敬する先輩がいました。

その先輩というのは、接客はニコニコと明るく、老若男女を問わずどんなお客さまでも対応し、もちろん常連のお客さまもたくさんいました。すごいのは接客だけでなく、事務作業はキビキビと要領よくミスなくこなし、人間関係では、先輩だろうと上司だろうと自分の意見はハッキリと言う人でした。

ジーパンと接客だけのぼくとは正反対。ぼくはその先輩の前ではすごく尊敬してしまい、ほとんど交流することができませんでした。お客さまのいない時には表情を変えずに黙々と事務作業なんかをやるような、すごくクールな方でした。

会話した記憶はほとんどなく、記憶にあるのは業務的な会話だけ。「嫌われているのだろう」と思っていたので、ぼくから話しかけることもなく、ますますコミュニケーションをはかることができませんでした。

そんなある日、その先輩がやめることを知りました。退職の日の数日前だったと思います。

プライベートはもちろん、仕事上でもほとんど交流することがなかったその先輩が、なぜか退職する時に手紙をぼくにくれたのです。

その手紙に書かれていたのは、ぼくの接客スタイルや人間性を高く評価してくれる賞賛の言葉。そして、その時のぼくに足りていないこと、注意した方がいいことなどが書かれていました。

手紙の最後に大きな文字で『目標をもってがんばれ!』と書かれていました。

その先輩もぼくと同じで、接客も苦手、ファッションやおしゃれにもあまり興味がない人だったのです。だから、真面目すぎて緊張しやすいぼくを心配してくれていたそうです。

気にかけてくれている人が必ずいる

接客であれば、お客さまのために一生懸命に取り組んでいれば、職場のなかに「自分を気にかけてくれる人」や「心配してくれる人」が必ずいるということです。

自分で勝手に「あの人に嫌われている」と思いこまずに、自分からコミュニケーションをはかることが大切だということを学びました。

特に、アパレルでの接客業務は、お客さまとのやりとり、職場スタッフとのやりとりとがあり、人間関係でメンタルがすりへってしまう機会も多いのは事実です。だからこそよけいに、先輩や上司とのコミュニケーション、相談といったことが大切になります。

ちょっとずつでもいいので、アドバイスをもらったり、相談をしたりしながら、自分の『ミカタ』になってくれる人を見つけることが大切です。

家族や友人に話すこと

仕事のことはプライベートに持ち込まない

そんなポリシーを持っていたぼくは、家族や友人にも仕事のことで相談することもしませんでした。特に、友人との大切な時間を「自分のグチ」や「相談」に使ってしまうことが申し訳なく思っていたのです。かといって、リフレッシュするためになにかするわけでもないので、ストレスがどんどんたまっていたのだと思います。

いま考えれば、精神的な不調になるのは当然のことでした。

家族や友人に仕事での出来事を話したり、自分の精神状態を伝えたりすることは、すごく大切だということがわかりました。

とにかく、ひとりで抱え込まないことが大切です。ぼくは現在も定期的にカウンセリングと病院に通い、クスリを飲みながら仕事をしています。アパレル業界ではありませんが、接客という仕事はまだ続けています。

仕事に対する考えの甘さ

いま考えると、アパレル業界に就職した時も、就職して仕事をしている時も。そして、アパレル業界を辞めるときも「仕事」というものについて真剣に考えていませんでした。

先輩がぼくを無視するようになったのも、もしかしたら、この「仕事に対する考えの甘さ」が原因だったかもしれません。

体調をくずしたことで、職場にも迷惑をかけました。会いに来てくれていたお客さまにも迷惑をかけました。復帰後、心配してくれて定期的に「ごはん」に連れて行ってくれるお客さまもいたほどです。それはそれで、すごくありがたいことでした。

しかし、もっと仕事というものと向き合い、将来のことを考えて仕事をしていれば違う結果になっていたはずです。

例えば、「この会社で店長やバイヤーになって心からお客さまにすすめられる商品だけをおく」とか、「自分の店をもつために、いまの職場で学べることはないだろうか?」とか、「憧れのリーバイスに転職するために、いまの職場でできることはなにか?」とか。

例えば、「アパレル業界を辞めたいけど、アパレル業界での経験をいかせる業種はないか?」など、できることはたくさんあったはずです。

ただ目の前のつらい現実ばかりに気をとられ、結局はそれが原因で働くことができなくなってしまいました。

もしもいまこれを読んでいるあなたが、このままアパレル業界で働きつづけるにせよ、アパレル業界を辞めるにせよ、人生で長い時間を費やす「仕事についてどういう姿勢で取り組むべきか?」といったことについて、まじめに向き合ってほしいと思います。

アパレル業界専門の転職サイトもおすすめ

ぼくがアパレル業界で働いていた頃よりも、最近はアパレル業界からの転職もしやすくなっています。

ジーンズの生産数は2010頃からわずかながら増加傾向にあります。ちょうどぼくが辞めた頃ですね...泣。ジーンズだけではなくアパレル全体で価格競争の時代が落ち着き、商品や接客の質、製造過程といったところを問われる時代になってきているのを感じています。

それゆえに専門的な知識や経験のある接客販売員というのは必要とされている時代でもあり、最近では「アパレル業界専門の転職サイト」も登場しました。そのひとつ「クリーデンス」は、ファッションに興味のある人ならばまちがいなく知っている有名ブランドの名前がたくさんそろっています。

求人紹介はもちろんですが、人と企業のミスマッチが起きないよう、アドバイザーによるサポートやキャリアカウンセリングが受けらます。また、アパレル業界専門の転職サイトということもあり、一般の求人には掲載されない「非公開求人」もたくさんあります。アパレル転職サイトなら間違いなくおすすめです。※ちなみにぼくも登録してます。笑

いまの職場で仕事を続けるにせよ、こういった転職サイトに登録するだけなら無料ですし、アパレル業界のさまざまな企業、さまざまな職種をみるだけでもかなり視野が広がるはずです。

さいごに

アパレル業界にいて、主に接客をしていた経験はすごく良い経験でした。

お客さまとのつながりやコミュニケーションの取り方など、どの仕事でも役に立つ経験だからです。

ただ、当時の自分を思いかえすと、やはり「後悔」の気持ちが拭えません。

自分の将来のことをもっとしっかりと考え、人生設計をたててアパレル業界で働きはじめていれば、やるべきこと、やるべきではないことがもっとハッキリしていたからです。

これからアパレル業界で働く人、働きはじめたばかりの人。

そして、ぼくのように目的や目標を持たず、ただなんとなくアパレル業界で仕事をしている人には、ぼくと同じような苦い経験をしてほしくはありません。

この記事が、働き方や仕事、職場環境に悩んでいる人に、少しでも役に立つことができたら幸いです。

ではでは。

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Jean@でにまに管理人

元ジーパンショップ店員。約5年間アパレル業界で仕事をするが精神的体調不良により仕事を辞めて約1年半療養。療養期間中に自宅でできる仕事をさがしてサイト運営やWebライティングにたどりつく。現在は自宅でブログやサイトの運営、Webライター、ネット通販などで生計を立てながら、知人の店舗の運営を手伝ったり、サイト運営やWeb活用のアドバイスをおこなったりしています。

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